2020年から、新しい人生を生きている。

何度か書いている話だが、ぼくは、あの2020年の感染症が拡大した時期(あの頃のことを後世の人はなんと呼ぶのだろう。けっこう気になる)から、これまでとはまったく違う、新しい人生を生きる、と決めた。

具体的には、とにかく以前からやりたかったことに徹底的にチャレンジする、ということを決めた。
とはいえ、ぼくはとても保守的な人間なので、いきなり会社を辞めるとか、家族の反対を押し切ってシンガポールに移住するとか、そういうことは全くない。
今の環境の中でも、できることはいくらでもある、と思って、そういうことをいくつか挑戦をはじめた。
それがようやく今年に入ってから少しずつ実を結びはじめてきた感じがある。
やっぱりすぐに結果は出てこないんだなあと思う。
何事も、やはり3年はかかるのだ。

3年間の中で「ああ、これはうまくいかないな」ということもいくつも出てきた。
むしろ、ほとんどのことがそういう感じだ。
以前のぼくなら、そういう「うまくいかないこと」にぶつかると、すぐに心が折れて、あきらめてしまっていたのだが、最近は、「ああ、このやり方ではうまくいかないんだな、じゃあ別の方向から試してみよう」と思えるようになった。
最悪、今取り組んでいることが全部ダメになったとしても、またイチからやるしかないな、というようにも思っている。

うまく言えないのだが、「イチからやりなおす」ということがあまり怖くなくなってきた。
いやいや、もうすぐ50歳が見えてきたような人間が何を言ってるんだという感じだけど、なんだろなあ、イチからやりなおそうが、順風満帆のところからはじめようが、やることは変わらないように感じる、というのだろうか。
極端に言うと、人生なんてたいした意味がないんじゃないか、というように感じることが増えた。
どれだけ金持ちになろうが、有名になろうが、何かの拍子にそういうものが一瞬で失われたりする。
だから人生に対してシニカルになる、ということではなくて、だからこそ細かいことを気にせずに、満足いくまでチャレンジしていこうぜと思える。
失敗だらけの人生、このあといくら失敗が増えたって、ダサい人生であることはたいして変わらない。
どうせカッコ悪い人生なんだから、やれることはやっておこうぜ、という感じだ。

ぼくは今、自分の人生の中で一番自分自身を肯定できているように思う。
それは「すごいなオレ」とか「かっこいいぞオレ」とかいうことじゃなく、カッコ悪くてダサい自分自身をそのまま受け入れることができている、という意味で。
これまでは自分が何かすることに対する他人からの反応を求めていた。
これだけがんばったから評価してほしいとか、これだけ努力したんだからほめてほしいとか。
もちろんそういうのが全く消失したわけじゃない(さすがにそれにまったく執着しなくなるのは自分でも心配だ)が、それ以上に、まだ見たことのない景色を見たいと思っている。
この先のことは誰もわからない、自分の足で一歩ずつ進んで確かめるしかない、そういう体験を一度してしまうと、それを超える楽しさなんてなかなか見つからない。
そして、そうやって新しい体験にドキドキしているとき、自分が他人からどう思われているかとか、わりとどうでもよくなる。
ただ目の前のことに向き合って、心は透明になっている。

いやまあ、たくさん不安はありますよ。
しんどいことも、辛いことも、いっぱいありますよ。
だから、こういうことを書いて、自分を元気づけようとしているのだと思うし。
で、そういったことも全部含めて、ぼくはまだまだ成長中なのだと感じる。
成長という言葉はまったく好きではないのだが、他にいい言葉が思いつかないので。

まあそういうことも、あの2020年というできごとがなければ起きなかったのかもしれないから不思議なものだ。
もし、同じようなことを感じている方がいたら、ぜひ話を聞いてみたいものです。