ちょっと、めまいがする。




最近のぼくは、これまでの人生で経験したことのないレベルで、多くの人から助けられ、支えられている状態にあると、強く感じている。



もともと、非常に個人的な人間で、人付き合いは苦手だ。

誰かと一緒の時間をすごしていても、自分のペースを崩したくないし、他人から何かを命令されるのが大嫌いだ。

よく優しいとか言われるが、それは本当は自分と同じように寛容であることを相手にも求めているからであって、それは優しいわけでもなんでもなく、自分の価値観を他人にも気づいてほしがっているだけである。

そんなぼくなので、当然ながら友人は少ないし、気の合う人と出会うこともほとんどない。

それはさほど苦痛ではなく、むしろ自由気ままにふるまって、やりたいことをやっていけたらいいと思っていた。

それが、もうすっかり年を取って、折り返し地点をすぎて、気がついたら、ぼくはいつも誰かに相談をし、誰かに教わり、誰かに誘ってもらい、誰かと一緒に考え、誰かの元気をもらって、暮らすようになっている。

こんなにたくさんの人から大切にしてもらって、果たしてこれを全部返すことができるだろうかと思うと、ちょっとめまいがしてくる部分もある。

だけど、それ以上に、ただ、ありがたいというか、こんな幸運に恵まれることは今後はもうないだろうなと思うし、だからこそ、今できることの最大を、命尽きるまで出し続けていきたい。

生きることは、こんなにも辛くて、孤独で、退屈で、クソどうしようもなくて、それでいて最高に幸せなんだということを、人生のすべてをかけて表現していきたいと思う。