コリコリマンの、本当の名。





朝、子どもが図書館に行きたいといったので一緒に自転車で行ったら祝日は休館日だった。



ひどくがっかりしているので、大きい公園まで行ってサイクリングをしようと提案したら不服そうだったが無理やり連れていった。

公園に行くまでのコースがまた上り坂だったのでまた文句を言われながらダラダラと進む。

街路樹が紅葉していて、イチョウの木の下を通ると、ハラハラと黄色い葉を降らしてくれて、とてもきれいだった。

ぼくの自転車の後ろに乗っている下の子はきれい、きれいと声を上げている。

池の周りをぐるっと走って公園の中に入っていくと、大きな滑り台やらなにやらの遊具が見えてきて、それで遊びたいという声も聞こえるが、ぼくはそんな気分ではないのでそのまま通り過ぎて、木がたくさん生えている人気の少ない遊歩道へと向かい、小さな橋を渡り、ちょろちょろと水が流れているあたりにいる大きな水鳥を見つけたので自転車を止めてみんなで観察した。

なかなか近づいても逃げないので面白くなって、下の子にもっと近づくようにけしかけたら、水鳥はめんどくさそうに大きな翼をゆっくりと動かして飛び立った。

飛び立ったものの、またすぐ近くに降りてきたのを今度は上の子が走っていってちょっかいを出して、また鳥はため息でも聞こえてきそうにめんどくさそうな動きで羽ばたいていく。

そのうちおなかがすいたと言い出したので、帰り道は違うコースを通って、大きな上り坂を自転車を降りて押していくと、なんでこんな坂を行かないといけないのか、もっと楽な道が他にあるねん、ぼくは知ってるんやと上の子が主張するから、歴史しりとりをしようと言って気をそらした。

坂を上りきると、大きな松の木たちに囲まれたうすぐらい道があって、ここはとても長い下り坂だ。

ヒュー!と叫びながら降りていくとどんどんスピードが出てきて、周りの景色がかすみ、自分の目の前の道だけがはっきり見えていて、松の木はどんどん減っていって、広い空の下に出てきて、それでも自転車のスピードは止まらないからゆっくりブレーキをかけていく。

上の子がもう一回やりたい、というのを、いやいやおなかすいてるんでしょと制して帰路についた。

食事のあと子どもたちは家で録画している『もののけ姫』を見たが、ぼくは昼寝をした。

下の子は『もののけ姫』に出てくる小さな木の精霊のことをコリコリマンと呼んでいて、今回もコリコリマン、コリコリマン、といって騒いでいたが、夜寝る前に、実はコリコリマンには本当は木霊という名前があると知っている旨を本人から伝えられた。