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犬だって言いたいことがあるのだ。

ものごとをひとつ先に進めるアイデアについて考えています

死者の国から、2016。



下の子が怖がるだろうからということで、妻もぼくもUSJのゾンビを見たことがない。



祖母と一緒にゾンビを見たという上の子の目撃情報によれば、人間の肉を食べていたという。

さすがにそんな恐ろしい光景はまだ見せられないと思い、なんとなくそろそろ出てきそうだというあたりで帰途に着く。

もう夕方だというのに、まだまだ入場口からはたくさんの人たちがやってくる。

みんな顔なり身体に大きな手術跡や致命傷になりそうな傷口の意匠を施すことで、自分たちは死者の一員だということをアピールしている。

そして誰もが、これから始まる死者の復活と殺戮の儀式をウキウキと楽しみにしている。

なぜこんなお祭りが大阪で盛り上がるのかといえば、大阪が死者の国だからだ。

生命の象徴である太陽は時とともにその活力を失い、この西方の土地へと沈んでいく。

大阪には夕景が美しい場所がたくさんあって、特に大阪港は名所がいくつもある。

大阪の海は悲しい色やね、という歌があるが、これが朝日ではそうはいかない。

夕陽丘という地名もあり、ここは大阪の歴史がたくさん詰まった、重要な場所でもある。

おまけにUSJはそんな大阪の西端に位置する人工の島だ。

それは、死者を祀るためにわざわざこしらえた巨大な祭壇である。

そこで死者の復活を祝う派手なお祭りがあっても、おかしくもなんともない。

死というのはそこで終わってしまうものではなく、死によって人口が減ることを悲しみ、悼み、祀ることによって、新たな生命を増やす動機となり、生殖活動を促進する。

夕方からの客がカップルだらけなのはそういうことだ。

女性たちの露出度がやたらと高いのもそういうことだ。

また、USJの今のキャッチコピーは「REBORN」である。

アトラクションに乗るときや降りるときも、これをみんなで復唱させられる。

死者を祀ったあとは、そのREBORN、復活を祝うのだ。



生きていると色々なことがある。

ストレスも疲れも溜まるだろうし、いつまでも頑張りっぱなしでは息が詰まる。

そんなときは、この大阪という死者の国に来て、日常の煩雑な物事を忘れて小さな死を迎え、地獄からの死者とたくさん遊び、うまいもんで食いだおれた後は、自身の復活を祈り、ゆっくりしていってはどうだろう。

少なくとも、京都に行くよりは、ずっと良いことがあるはずだ。