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犬だって言いたいことがあるのだ。

ものごとをひとつ先に進めるヒントについて考えています

この世界で最もうまい食べ物は、唐揚げである。








なんだ、てめえ。


そらもう唐揚げより美味いもんがこの世にあるわけねえだろが、この野郎。


ああ?なんだ、最上級表現はNGだとか何つまんねえこと言ってんだ、こっちは完全に個人の感想なり実感コメントなんだぞこのチキン野郎、てめえチキンと唐揚げ一緒にすんなこのチキン南蛮野郎が、タルタルしてんじゃねえぞ、このタルタルチキンコンプライアンス野郎め。


おうなんだなんだ、しょせん唐揚げなんざ子供の食いもんだと?てめえ喧嘩売ってんのかこの知ったかぶり野郎、あんな美味いもんをガキにしか食わせないなんてどんなにセレブリティあふれる食生活送ってんだこのかぶりもの大好きセレブ野郎、そうやって何にでも格付けしてんじゃねえぞ、てめえみたいなやつこそ一生お子様ランチに格下げにして毎日違う国旗をご飯にぶっ刺してやるぞこの野郎。


そこんとこ唐揚げはすごいぞ、いいかよく聞けよ、唐揚げはな、唐揚げはな、誰が食ったって、唐揚げなんだよ。


もうアッツアツのパッリパリ、香ばしくきつね色に揚がったばかりの唐揚げによ、こう、大きな口してかぶりつけば、たまんねえサックサクの食感がお前を出迎えてくれるんだ、もうみんなして玄関口から出てきてよ、お前がこちらにやってくるのをずらーっと並んで歓待してくれる時の音だ、このサクサクサクサクサクがそれなんだよ、てめえそんなこともわからねえのかこの過剰サービスに慣れすぎてる鈍感野郎、もう一回小学校のあいさつ当番からやりなおせこのエブリデイ日直野郎め。


おう、なんだなんだ何をびびってるんだ、さっさと噛め、遠慮すんな、そうだそうだそのプッリプリの肉をしっかりと噛めしめれば、じゅんじゅんじゅわわ、じゅわじゅわわーっとうまい肉汁がお口の中いっぱいにあふれていくだろうが、この滋養ある旨味がたまんねえだろうが、なんだてめえ我慢すんな、人間気持ちいい時はちゃんと気持ちいいっていうことを表現したほうが精神衛生上も絶対にいいぞ、だからユー気持ちよくなっちゃいな、このほとばしるリビドーを止められない暴走快楽特急野郎め、どこまでも走っていけっつってんだこの野郎。


なにカロリーが?脂肪が?まだわかんねえのかこのへっぴり腰が、だったらずっと道端の草食って暮らせってんだ、だからてめえ道草食いすぎて自分がどこに向かっているか自分でももうわけわからなくなってんじゃねえか、この自分探しクソコンパスクルクル野郎が。


アミノ酸


脂肪!


わかるか、てめえ、人類はどうやってこの手のまあまあ余計な栄養分を摂取できるようになったのか知ってんのかこのテストに出る部分しか蛍光ペン引かないクソ効率化チューニングPDCA野郎め。

そらもうみんなが我慢して毎日それほど美味くもない穀物だったり野菜だったりを食って、貝だの魚だの捕まえて暮らしていればよかったもんを、やっぱり肉食いてえ、食いてえと泣き叫んで欲しがったのはお前らだろうが、この欲しがりさんめ、だったらそれを食べられる今の環境に深く感謝してありがたく摂取するんだこのバリンロイシンイソロイシン野郎め。


なんだ不満げな面下げやがってこの野郎、こっちは別に最高に上等な鶏肉を使った特別な唐揚げをご所望なわけじゃねえんだぞ、最近の冷凍の唐揚げのクオリティなめてんのかこのお袋の手料理至上主義者め、何が手料理だ、てめえこの冷凍の唐揚げを1つずつ皿に載せてレンジでチンするのは他の誰でもないオレの手なんだぞ、これを立派な手料理と言わずして何が人のぬくもりだ、重要なのは今日一日を必死に生き抜いて、食いてえものにありつけることにただ感謝することじゃねえのか、ああ?

たしかにレンジでアツアツに温めた唐揚げはそんなにサクサクしてねえから、こらもうあれだ、向こうさんもなにぶん冷凍なもんで十分な歓迎ができなくてごめんなさいねって、そう申し訳なさそうな表情を浮かべてるのは否定できねえ。

だけどいやまあ別にこっちも急にお願いしたことだから仕方ないよって言いながら一口かじったらアラびっくり、おいしい肉汁がじゅじゅじゅじゅわ~だ、これは大変失礼しました、正直見くびってましたと言いたいところだが、アツアツの唐揚げをほおばっている上に、お口の中はじゅわじゅじゅじゅだからどうしようもない。


いいか、その口いっぱいに唐揚げをほおばっている状態で黙って聞け、なあ、ひょっとしたらてめえももっと偉くなってオレなんざあ口も聞けねえくらいの立場になることもあるかもしれねえ、そうだその時は唐揚げなんて庶民の食いもんを口にすることもないかもしれねえ、だけどな、もしどこかの知らないおっさんが世にもうまそうに唐揚げを食ってるのを偶然でも見かけた時は思い出してほしいんだよ。

あんたにとっての幸せって一体なんだったかを、ちょっと立ち止まって考えてみてほしいんだよ。

そん時によ、口の周りにもたっぷりとこってりとうまい脂をつけて、気持ちいいです、気持ちいいですと、ただその喜びに身もだえした瞬間を、ほんのちょっとでも思い出してほしいわけよ、わかったかこの死ぬまで青春突っ走り系鶏ガラスープ思ったよりいっぱいとれてラッキーパンチ野郎め。