なんとなく、朝を中心とした生活を試しはじめている。
朝型に変えづらい一番の理由は、朝の時間は短い、というところだと思う。
夜の場合は、睡眠時間を削れば、極端に言うと朝までずっと確保できる。
いつ終わるかわからないような作業や、たっぷり時間をかけてやりたいことがある場合、夜に手をつけたほうが安心だ。
特に企画をするときなどは、アイデアがいつやってくるかわからないので、できるだけ時間に余裕が欲しい。
というわけで、ぼくはもう何十年も夜型を続けてきた。
それで、あえて無理に朝早くに起きる生活を試してみて思ったのは、朝に向いていることと、そうでないことがある、ということだ。
朝に向いているのは、活動的なことや、前向きな作業だ。
ストレッチや筋トレなど、体を動かして気持ちいいのは断然朝だ。
掃除とか洗濯物を干すとかのちょっと汗をかくぐらいの作業も、朝のほうが圧倒的に爽快だ。
あと、意外だったのは、アイデアを考えるのにも朝は悪くない。
朝を好むのは実際家、夜を好むのは芸術家、なんてのを聞いたことがあって、ぼくは自分が夜型であることの言い訳に使っていたのだが、やってみるとなかなかどうして、朝に思いつくアイデアは、なかなか良い。
そもそも、アイデアというのは機嫌が良くないと出てこない。
若い頃は体力も気力もあったので、夜でも気持ちが高揚したり、楽しいことも考える余裕があったように思う。
しかし年を取ると、夜にはすっかりくたびれているので、出てくるアイデアもくたびれている。
年を取った今、一日のうちで一番体力と気力が残っている朝が、一番パフォーマンスを発揮できる時間なのである。
だから、朝は自分がやりたいと思っていることに使うのに向いていると思う。
前からずっと取り組みたいと思っていたけど他の業務が忙しくてつい後回しにしてしまっている仕事とか、何かの勉強とか、あるいは体力や気力を必要とする趣味とか。
まあその内容は人によって色々あるのだろうけど。
一方で、朝に向いていないのは、ぼーっとすることである。
まあ人によっては問題ないのかもしれないが、ぼくには向いていない。
朝はとりあえず眠い。
ちょっとでもぼーっとする隙があると、眠気が戻ってきて、なんだか後ろ向きな気持ちになってきて、そこから逃げようとしてまた布団にもぐりこんでしまったりする。
あとは、答えの出ないような問いについて考えることも危ない。
そこで、そもそも人生とは…生きるとは…とか考えはじめてしまうと、もうオレは仕事なんかしている場合じゃないかもしれない…ああ…どこか遠いところに行きたい…と現実逃避への心の旅がはじまってしまう。
すると朝からスタートダッシュを切るどころか、モヤモヤとした一日を作り出してしまい、ずっとアンニュイな気持ちですごしてしまいかねない。
ぼーっとするのは夜に限る。
特に、朝早くから起きていると、夜はイヤでもぼーっとしてくる。
朝遅くまで寝ている夜型人間だと、そういう時になかなか眠れなくなってしまって、モヤモヤしたまま時間だけが過ぎていく…ということもあるけど、早朝からフル稼働している人間にとっては、夜はひたすら眠い。
モヤモヤする余裕もなく眠ってしまう。
別に、朝型に変えれば夜が嫌いになる、というわけではないようだ。
むしろ、夜は救いとなる。
とまあ、まだ始めたばかりのことをごちゃごちゃ考えていてもしかたないのだが、起きている時間帯を変えるだけで、色んな発見があるもんだ。
人生はまだまだ謎に満ちているなあ。