最近急に、時代が変わったなと感じることが増えた。

なぜか最近になって「時代は変わったな」と感じることが多い。
それまで、あまりそういうことは少なくて、たぶんそれは、自分自身も時代に合わせて変わり続けるしかなかったから。
「いやあ時代も変わったもんだ」なんて感慨深く思えるような余裕なんてなかったからだと思う。
もちろん今だってそんな余裕はまったくないのだけど、ふとしたできごとについて「変わったな」と感じることが増えた。

まずは、昔はもっと世界が雑だったな、と思うことが増えた。
ゴミの分別は今みたいに細かくなかったし、エアコンも夏はガンガンにつけていたし、インスタント食品とか合成着色料たっぷりのお菓子とかも、何も気にせずに食べまくっていた。
会社にしたって、みんなデスクでタバコを吸ってたし、休日に出社するときはみんな車でやってきて適当にそのへんに駐車していたし、どれだけ深夜まで残業しようと何も言われなかった。

それから、みんなそこまで理屈っぽくなかったような気がする。
もちろん色んな場面でその根拠はなんだとか、論理的に考えたのかとか注意されることはあったけど、面白いアイデアとかこっそり仕入れてきたネタとかを見せると、先輩たちの多くは相好を崩して喜んでくれた。
なんというか直感や本能のようなものが大事にされていたように思う。
まあ、そこはぼくが美化しているだけの可能性もあるけど。

あとは、方言を聞くことが減った気がする。
最近は大阪でも、大阪弁を話す子どもが減っているように思う。
なぜかみんな標準語を話している。
仕事でも、極端になまっている人と会うことが減った。
あと、方言と関係ないけど、太っている人も減った気がする。
なぜだろう。

あと、仕事に関して言えば、今ほど働く人がカジュアルな格好をしている時代はないんじゃないだろうか。
クールビズでネクタイをしなくてもよくなったのがまだ最近のできごとのような気がするけど、今や銀行で働いている人がTシャツを着るような時代だ。
昔は、広告会社のコピーライターやデザイナーはカジュアルな服を着るのが許されていることが多く、ぼくもコピーライターになるまではそういう自由さにも憧れていた。
だけど今や多くの人たちが自由な服装で通勤しているのを見ていると、いやあ変わったなあ、と感じる。

とまあ色々挙げてみたけど、ぼくは基本的には世の中は良くなっていっていると思う。
先輩たちに殴られているところを見かけても見て見ぬふりをする学校の先生は減ったと思うし、みんなが自分の健康を強く意識するようになったし、得意先からの理不尽な要求もだいぶマシになったように思う。
あるいは、価値観の多様さを認め合おうという動きもすばらしいと思う。
あとテレワーク最高。

じゃあどうして、今になって、時代の変化を感じることが増えたのか、よくわからない。
もうさすがに年を取って、そういう変化についていけなくなってきているからなのかもしれないし、あるいは、この数年の間に、これまでとは比べものにならないような変化が起きているからかもしれないし、その両方かもしれない。

いや、やっぱり、いま世界は大きく変わっていっているような気がする。
何がと言われるとはっきりわからないけど、これまで「さすがにこういうものは変わらないだろう」「これはアテにしても大丈夫だろう」というものがどんどん変わっていっているような気がする。
それを悪いことだとは思わない。
ただ、一度変わってしまったら、もう戻れないような、何か全く違う場所へとワープしてしまうような、そういう変化が起こっているような。

じゃあどうすればいいのか。
まあ、そんなことを心配したってしかたないだろう。
ぼくにできるのは、肩の力を抜いて、変化を受け入れ、自分自身が感じていることに敏感でいることぐらいだ。

さて、深呼吸をして、今日も見知らぬ世界を探検してみるとするか。