何を頼りに進めばよいかわからないこの時代。
なんていう言い方を色んなところで目にするようになったけど、あれは一体なぜなのと妻に聞かれた。
言われてみれば、以前から言われていたような気もするし、最近またよく見かけるような気もする。
ただまあ自分のことを振り返るに、やっぱり何を頼りに進めばよいかは年々わからなくなっているようにも思う。
ぼくはどちらかというと自分の人生は自分で切り開くものだと思って生きてきたけれど、この数年は自分の力ではどうにもならないことばかりを経験し、一体何を指針にしていけばよいのかさっぱりわからなくなってしまった。
何よりぼくが耐えられなかったのは、誰でもそうだろうけれど、自分の意志以外の理由で、自分の考えや行動を変えさせられることだった。
時代が変わったから、ニーズが減ったから、お前の需要がなくなったから。
そうやって自分の意志ではないところで変わらざるをえなくなって、ぼくはすっかり前に進む力を失ってしまった。
しかし、それは間違っていたのだ。
変わらざるをえないから、という理由でこれまでの自分の考えを捨てたのは、やっぱり自分の意志なのだ。
問題は、この時代には頼りにするべきものがないことではなく、頼りにするべきものがないと思いこむことなのだ。
じゃあ何を頼りにすればいいのか。
ぼくはこの数年、それをずっと探していたのだけど、答えは実は簡単だった。
別に、何も頼りにしなければいいのだ。
何も頼りにせず、そのつど考えて、試していけばいい。
必要があれば先人から学べばいいし、必要がなくなればそれを忘れたらいい。
ぼくは自分が思っているよりもはるかに自由なのだ。
そういうことに気づくのにずいぶん時間がかかってしまった。
まあ、自由を満喫する時間はまだ少しは残されているようだけれども。