誰かの助けが必要な時に限って、人はそのことに気づかないから。



えーただいまご紹介にあずかりました、いぬじんと申します。

えーイチローさん、そして由佳さん、このたびは、あー、ご出版ならびに増版、えーまことにおめでとうございます。

あー、今日はこんな素敵なパーティーにご招待いただいただけでなくブロガーの後輩としてスピーチまで拝命いたしまして、えー非常に恐縮いたしております、はい。

えー今日はイチローさんのご家族、ご学友、お仕事のパートナーの方、プライベートのご友人などなど、基本的には現実世界におけるイチローさんの大切な方々がお越しになっていることと存じますが、あーそんな中、えー今日はインターネットという仮想現実に住んでいる友人の代表といたしまして、えーこのたび挨拶をさせていただくことになりました。

えーイチローさんという方は和田一郎さんという会社経営者としてのお顔以外に、実は人気ブログを書くブロガーとしての顔をお持ちであります。

ブロガーの中にはぼくのように何の役にも立たない自分語りをひたすら続けている人間もいる中で、イチローさんのブログはいつも現実にちゃんと軸足が置かれていて、起業というのは世間のイメージと異なりもっと地味で根気のいる作業なんだとか、俺流でやってるサラリーマンは会社では偉くなれないかもしれないとか、ラブラドールレトリーバーを飼ってはいけないとか、娘さんの彼氏が挨拶にやってきたとか、シルバーアクセサリを買ってこっそりトイレで付けてみたとか、えーここは笑うところですよ、もうここ以外に笑うところないですよ、そこんとこよろしくお願いしますよ、とにかくまあとイチローさんの書くことは、いつもこの現実にちしっかりと根ざしているわけです。

そして、インターネットに住んでいる、ぼくのように現実世界での自分のコントロール方法を見失ってくすぶっている人間たちが、40代からの起業を成功させたというイチローさんの存在と、その誠実でかつ情熱的な文章に、蜘蛛の糸に群がる亡者のように吸い寄せられていくのであります。

イチローさんはみなさまご存知のようにとても優しくて、あたたかい方です。

でも、ぼく自身がこれからどう生きていけばよいのか、それについての答えを教えてはくれません。

自分の生き方はこうだった、ということをお話してくれるだけです。

おそらく、それがイチローさんの誠意であり、美学なんだと思います。

あとはイチローさんの話を聞いた本人がどう考えて、どう行動するのか、それが全てなのだと、ご存知だからなのでしょう。

イチローさんもおっしゃっていましたが、働く人間は2度悩むのだと思います。

はじめの悩みは若い頃に経験するものだから気力も体力も十分あるけれど、中年にさしかかったときの壁は途方もなく高くて、誰もが乗り越えられるわけではなく、なんだか最近ふんばりがきかなくなっているし、おまけに自分が壁にぶつかってることに気づかず、同じ場所をずっとグルグル回っている壊れたロボットみたいになってる。

ぼくはイチローさんがお書きになっている文章に出会い、自分がそういう状態になっていることに気づきました。

気づいたものの、しかしそこから抜け出そうとするまでずいぶん時間がかかっています。

いま、色々とかっこ悪く試行錯誤して、なんとか自分が進むべき道が見えてきたような状態ですし、その道も前途多難です。

しかし、ぼくは自分が壁にぶつかってることすら気づいていなかったら、今頃もっとひどい目にあっていると思います。

人間が自分を変えるには、素直な気持ちで自分を見つめてその状態に気づくことが必要なのだと思います。

そして、ぼくのように中途半端に知識をかじり、中途半端に自信を持ってしまっている人間にとっては、自分の意志だけで今の自分がダメな状況におかれていることを認めるのは、難しいことでした。

誰かの助けが必要な時に限って、人はそのことに気づかないのであります。

すみませんもう終わるんで、もうちょっとだけ気持ちよくしゃべらせてくださいね、すんません。

えーとにかく、イチローさんは、もちろん会社経営者としても非常にお忙しいとは存じますが、これからも迷える、あるいは迷っていることにも気づいていない人々の心に一筋の光を投げかける作家として、ますますご活躍いただきたいと願っています。

また、シルバーアクセサリを付けてみたご感想の続きについてなども引き続きブログのほうでご報告いただきたいと存じます。

このたびは本当におめでとうございます。

僕が18年勤めた会社を辞めた時、後悔した12のこと

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