前回の自分のエントリを読み直してみると
なんだかずいぶんビジネスライクな文面で
おまけに偉そうな印象がある。
自分の言いたいことばかり
無理に押しつけたような文章だと思った。
あんまり良いプレゼンテーションでは
なかったかもしれない。
そして、この点がもう1つのプレゼンのコツだ。
ついつい間違ってしまうのだが
実はプレゼンテーションは
自分の考えていることを伝える場ではない。
大切なのは
「すでに相手が持っている答え」を引き出す
ということである。
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人間というものは、いつも何かの課題に対して試行錯誤をしている。
だから、大抵の場合は、他人に言われるまでもなく
自分なりに解決方法について色んな仮説を持っているものである。
ただ、その仮説をうまく言語化できてなかったり
具体的なアクションをイメージできていなかったりしてるだけなのだ。
プレゼンテーションする人間ができることは
相手のそういう状態を、少しだけ前に進めて
実行へと移すための決心を促すことだけである。
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プレゼンをした時の反応で
僕はだいたい結果がわかるようになってきた。
では、プレゼンが成功した時の反応はどんなものか?
拍手喝采?
いや、一番多い反応は、こんな感じ。
「あー。私も、そうなのかなあと思ってたんですよ」
まあ、相手にもプライドがあるので
青二才だったり、外部の輩の話に
簡単に感心してみせるわけにはいかない、
ということもあるだろう。
しかし、そうだったとしても
これは素直な反応なのだと思う。
当たり前だが、プレゼンテーションにおいては
それが競合であれ、単独であれ、
提案内容を受け入れるのは、相手だ。
相手が具体的なイメージをできない施策は
それがどれだけ素晴らしい内容であっても
到底受け入れられないものなのだ。
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ちなみに、この
「すでに相手が持っている答え」を引き出す
プレゼンテーションについては
僕は、すごく簡単なフォーマットを作った。
まず、おそらく相手が迷っているであろう
いくつかの選択肢を挙げてみる。
これは、間違っていてもかまわない。
どうせ相手も答えを持っていないのだ。
少しくらい変な選択肢が混じっていても、バレやしない。
で、それぞれの選択肢について考察をしてみせる。
なるべく具体的に、数字や資料を使って。
ここは良いけど、ここはまずい、ということを
わかりやすく、丁寧に解説する。
そして、それぞれの施策に対して
はっきりと「○」「△」「×」をつけて
表にしてみせる。
あとは限りなく○に近い施策を選び抜いて
それを「◎」にするには、何が足りないかを述べる。
すごくシンプルで、有効なフォーマットだ。
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今、僕はすごくクールに言ってのけたつもりだが
このコツを意識しすぎると
とても残念な結果を生むこともある。
例えば、わざとプレゼンの相手が持っている仮説に
「当てにいく」ような提案姿勢になりがちになる。
しかし不思議なことで「当てにいく」と、当たらない。
視野が狭くなりすぎて、他の可能性を見落としたりする。
また、相手が持っている答えの範囲にしか
選択肢がないと思いすぎるのもよくない。
これを繰り返していると、提案内容の質がどんどん落ちていくし
結果的に、相手のためにもならない。
じゃあ、いったいどうしたらいいのか?
それを次回の、最後のコツとして紹介しようと思っている。