じこはおこるさ。

 

 

 

 

 

きかんしゃトーマスの有名な歌で

「じこはおこるさ」(accidents will happen)

というものがある。

 

浮かれていると事故は起きるものだから

よく覚えておくようにということが

全編にわたって説かれている。

 

この歌には子供(僕は敢えてこの字を使う)

に対する教訓というよりも

人間というものに対する深い洞察と同情が

よく表れていると思う。

 

結局、どれだけ注意深くなったところで

まさかの事態というものは起こる。

 

もちろん、起こりうる可能性を

すべて想定しておくことはとても大事だが

それでも予想外の出来事は起こるものなのだ。

 

 

むしろ大切なのは「じこはおこるさ」

ということをいつも認識しておくことじゃないだろうか。

 

事故、というとすごく不穏な感じがするが

たとえば一目惚れ、なんてのも事故の一種である。

予想もしていなかった素敵な人に出会って

不本意ながら好きになってしまう。

これが事故以外のなんであろうか。

 

あるいは、アイデアをひらめく

なんていうことも一つの事故である。

しかも、多くの場合はその状況を

どうやって人工的に作り出すかということすら

研究されているわけである。

 

つまり、想定外の事故というものは

人を悲しませることもあれば

喜ばせることもある。

そして、このアクシデントが

連続して起こっているからこそ

人間は自分たちの生活を改善し続けられている。

 

 

そんなわけで、そんな人類の悲しい性を

ちゃんと理解しておくことは大切だし

事故を防ぐということと同じくらい

想定外の出来事が起こってしまうことを

ちゃんとわかっておくことは

より未来的な態度だと思うのだ。

 

これだけ世の中が情報化されて

ある程度のことが予測できるようになった今、

必要なのは、人のミスに目くじら立てたり

やり玉にあげてストレスを発散することではなく、

社会全体が小さなベータ版の連続だということを

みんなが認識して、うまくいかなかった場合の

次の仮説を出し合うことを

当たり前に思うことじゃないだろうかと

最近、強く思う。