ひじきさん。

 

 

引き続き、僕の尊敬する人の話。

 

その前に彼女の仮名を考えよう・・・。

じゃ、ひじきで。

ひじきさん。

 

ひじきさんのすごいのは

「相手を受け入れる技術」だけではないのだ。

 

ある日、僕はまた無神経に

「この仕事、納期がめちゃめちゃ短いんですけど

間に合うもんですかねえ」

とか、いやらしく聞いたもんだ。

 

すると、ひじきさん、

「大丈夫です。すごい人物が担当してくれてますんで」

と即答。

 

「その人、ヤバすぎるんで、みんなから神って呼ばれてるんです!」

 

ひじきさんは身内を紹介するのがすごく上手い。

 

ある日は、ちょっとカタブツの自分の上司を茶化して

「ああ見えて○○は、自信作がダメになって超へこんでたんですよ」

と、教えてくれた。

すると、その人物のことがなんだか好きになってしまう。

 

またある日は、自分の先輩が企画変更に難色を示していることを

「××は、たぶん今の企画を気に入っちゃってるんですよね~」

その企画は僕らが考えた企画だから

こっちも悪い気がしないのである。

 

ああ、だめだ。

僕は、彼女といつも一緒に仕事している人が

うらやましくて仕方がない。

 

ひじきさんの紹介の仕方は

その人物の個性や、情熱が向かっている先を

ちゃんと理解しているからこそ、できるやり方なのだ。

そこには「つい変なこだわりを持ってしまう人々」

への深くて広い愛がある。

 

こんな人が会社に1人いるだけで

たくさんの人間が救われていることだろう。

 

ひじきさんは、いつか僕のことも、誰かに話してくれるだろうか。

どんな風に紹介してもらえるのだろう。

それを妄想するだけでドキドキしてしまう。

 

「ああ、イヌジンさんは、いたって普通の人です」

 

だったとしても、構わない。

なんて思う僕は、ちょっと、愛情に飢えてるのかねえ。