ぼくが、嫉妬するもの。

 

 

 

自分にはこれしかできないから、と言う人に対して、イラっとする。

 

 

 

だから他のことはできる自信はないけどやるだけやってみましょう、とか、その代わりに得意なことについては任せておいてくれ、とか、そういう言い方はできないのだろうか、と思ってしまう。

 

その人が、自分はこれしかできないから、と言ってしまうと、こちらはやったことのない面倒な雑務や未知の仕事を引き受けざるを得なくなる。

 

こっちだって、その人と同じぐらい、他のことは苦手なのに、そうやって、ほんのちょっとだけ器用だという理由で、本当に得意なことや好きなことから離れていく。

 

それで、苦手なのにと我慢して懸命に耕してきた畑に果実が実り始め、住みやすい土地ができてくると、また彼らはやってきて、のんびりとお茶を飲みながら、自分にはこれしかできないから、と言い続けている。

 

だけどもう、いい加減にそういう世界のとらえ方からは卒業したいなと思っていて、本当は彼らのことなんてどうでもいいのだ。

 

自分には自分なりの歩き方があり、自分なりの道が切り開かれていて、それは独創というにはほど遠いかもしれないが、しかしたしかに自分の足で進んできた道なのだ。

 

それがわかればじゅうぶんで、それ以上後ろを振り返らなくていい。

 

そんな時間があるなら、残された命で、ちょっとでも新しい光景が見えるように、一歩でも進んでいく。

 

 

 

ぼくが本当に嫉妬するのは、そんな歩き方をずっと続けている人だ。