第三の男






id:shiraber氏が、やってくる。



お互いに忙しくて、少しの時間しか会えないけど、

インターネットのおかげで(そして氏の人並み外れた行動力のおかげで)

気が向いたときに、気ままな意見交換をしあえるので、

会わないあいだにも色々と自分の考えが進んでいっている気がするし

また、彼は非常にたくさんのことを知っているので普通に勉強になる。





id:shiraber氏(ぺんぎん氏)は、今はラーニングファシリテーターという仕事をしていて

「学ぶ」ということをテーマにして、なんだか色々と活動をしているアクティブな人だ。

以前は、はてなで働いていたこともあって、その頃に僕らは知り合った。

なんでも、その前は広告会社でも働いていたらしい。



彼は、そういう自分のキャリアパスから生まれたものなのか、

もともと胸に秘め続けていたものなのかよくわからないけど

「サードプレイス」というものに興味があるらしくて

会社でも家族でもない、全く別の「第3のコミュニティ」に関心を持っている。



いわゆる「リア充」なゾーンには含まれない、全然違うレイヤーにあるコミュニティ。



僕は彼の言っていることは頭では理解できているつもりだが、

それって趣味仲間の集まりとか、マンションの管理組合とかと何が違うの?

って、ついまぜっかえしてしまうので、話が全然前に進まない。





僕が、彼の熱い想いを、つい茶化してしまうのは理由があって、

すでに僕は「ファーストプレイス」と「セカンドプレイス」を

生き抜くのに、いっぱいいっぱいだからなのだと思う。



早朝に起きて、わずかな時間だけ創作に取り組み、

それから子供と一緒に保育園へ出かけ、

深夜に仕事から戻ってきて、あとは寝るだけ。

唯一の趣味だった合気道の稽古にも長いこと行けていない。



そんな状態が数年続いているので、

僕にはサードプレイスを作ったり、参加したりする時間の余裕なんてない。



だから、ぺんぎん氏がサードプレイスについて熱っぽく語っていると

彼のその純粋な理想や、あふれる行動力に対して嫉妬してしまうのである。



おそらくぺんぎん氏だって、日々の生活を生き抜くのに必死なはずである。

ラーニングファシリテーターは、広くて深い知識を必要とされるだけでなく

色んな人に気を使いながら物事を進めていかなくちゃいけない、大変な仕事なのだと思う。



そんな状況でも、新しい世界について夢想し、追い求めようとすることができる、

ぺんぎん氏の「夢を見る力」に僕はあてられてしまう。

どれだけ忙しくても、彼から突然届くサジェッションに、刺激と元気を与えられる。

なんとか、彼の思考についていかなくちゃと必死になる。



ただ、サードプレイスや、3つめのコミュニティということについてだけは

前向きな議論をしようとする姿勢が保てなかった。

しょせん僕のキャパシティでは2つがせいぜいで、3つめなんて到底無理だと思っていた。



しかし、そんな僕にも、やはりサードプレイスがあると思う。



それがこのはてなブログであり、ここで出会えた奇妙な人々だ。

そしてその縁を作ってくれたのは、何をかくそう、id:shiraber氏である。



つまり彼は、僕にサードプレイスをもたらしてくれた恩人であり、

仕事とか家族とかを飛び越えた場所に存在している、

サードプレイスを体現している人物そのものなのだと思う。