大阪には「ええ格好しい」という悪口がある。
体面ばっかり気にして中身がともなっていないことを
やんわりと非難する言葉だ。
そして僕は典型的な「ええ格好しい」なのである。
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仕事をしていると
「あなたなら、こんなことくらいできますよね?」
とつきつけられることが、よくある。
僕のような「ええ格好しい」は
そりゃあ当然ですよと、すぐに言ってしまうのだ。
そして後になって、慌てて色んな人に泣きついたり
愚痴ったりして、大いに迷惑をかけることとなる。
世間にこういう輩が多数いると
周りの人々に迷惑がかかるのはもちろんのこと、
運よく仕事が成立したとしても
もともとその仕事を依頼した依頼主にも
結果的に迷惑がかかる。
というのも「ええ格好しい」の人間は
自分が悪者になるのを避けようとするので
「あの人がこんなことを言ってる」
「ひどい依頼だが、オレの顔に免じて許してやってくれ」
なんていい加減なことを言って
依頼主のせいにしていく。
で、依頼主は自分の知らないところで
勝手に評判を落としていくのだから。
そんなわけで、大阪では、この手の人物を
「ええ格好ばっかりするな」と
忌避する傾向にある。
ひょっとすると過去の歴史において
色んな為政者から「ええ格好」ばかりされてきて
さんざん苦労してきたからなのかもしれない。
その割にはいまだにタレント候補や
パフォーマンス好きの人物を
担ぎたがるのが不思議で仕方ないが。
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僕は今も自分の「ええ格好しい」が原因で
すごく面倒な仕事を抱えてしまっている。
しかも、自分の性格的にも、とても苦手なジャンルの内容。
今となっては、しまったなあ、という感想しかない。
だが、多くの人が関わってしまっている仕事だし
最悪、失敗したとしても
別に死傷者がでるような仕事ではないので
もう最後までやりきるしかない。
この件は、そういうことで腹を据えた。
だけど、これをきっかけに
自分の「ええ格好しい」な部分を
あらためようと思っている。
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仕事は、自分だけのものではない。
自分だけが我慢すればいいものでもない。
我慢できているつもりでも
知らないところで他のところに
ストレスがかかっていくのが
人間というものだ。
それが職場や取引先の人の場合もあるし
恋人や家族の時もある。
もちろん、自分自身に対してもだ。
よく考えれば
苦手なものを、苦手と言うことで
「なんだ、こいつ大したことないな」と
あなどられるリスクよりも
ええ格好をして色んな人に迷惑を
かけるリスクのほうがずっと高い。
だから、これからは
「苦手なんです」と
正直に言おうと思っている。
あなどられたっていいじゃないか。
自分の得意な領域の仕事が来た時に
ガツンと「ええ格好」すればいいんだ。