読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

犬だって言いたいことがあるのだ。

ものごとをひとつ先に進めるヒントについて考えています

バカっていったほうがバカ!

 

 

僕の息子はおしゃべりが大好きで

保育園に向かう道をずっと

ペラペラしゃべりながら歩いている。

おまけに結構、理屈っぽくなってきて

ちょっとバカにしたりすると

「バカっていったほうがバカや!」

と非難してくる。

 

どうせ先生か誰かの受け売りだろうし

単純な論理ではあるが

なるほど、たしかにそうだなあと

すぐに妙に納得してしまうので

父親の威厳なんてとっくの前に失われてしまった。

 

 

最近、すごい女性に出会った。

クライアントの担当者なのだが

 

「あのお、私ぃ、この世の中にぃ、悪い人なんていないと

思って生きているんですうう」

 

というのが口癖なのである。

 

しかし、そう言った舌の根も乾かないうちに

 

「ところでぇ、今度のお仕事なんですけどぉ」

 

と、彼女は条件を提示してきた。

それはだいたいこんな感じ。

 

・今度の仕事は競合(しかも10社くらい)にかけることにする。

・プレゼン費は払えないが、勝ったところには破格の金額を払う

・さらにちゃんと成果が出れば、さらなる報酬も払うつもりがある

(しかしその「成果」の基準はあいまいで、期限もない)

 

「これならぁ、みなさんも頑張れると思うんですぅ」

 

僕はこの話を聞いたとき

この人は頭がおかしいんじゃないかと思った。

目先に高額の報酬をちらつかせ

しかもそこにゲーム性を持たせることで

各社、目の色を変えて奮闘すると思ったのか。

バカにするのもいい加減にしろ、と思った。

 

この人には、実際にそう言われた側の人間が

どう感じるかを考える、想像力が欠如していると思った。

 

 

このことを僕は憤慨しながら

例のトラブルメーカー先輩に話した。

 

「ね、どう思います!?

彼女には相手の気持ちを考える想像力が欠如してるんです。

お金のためだけに働くなら、僕はこんな仕事してないです!」

 

するとトラブル先輩は意外にも

残念そうにため息をついた。

 

「いやあ、残念だなあ。お前は致命的なミスを犯してる」

 

どういうことですか、とムッとしながら聞くと

トラブル先輩はこう言った。

 

「すごくフェアな話じゃないか。

みんなに同じ条件を提示して

全員が平等に頑張れるようにしてるんだろ」

 

僕はまたムッとして反論した。

「なんで?そんなことで僕のモチベーションは上がりません」

 

「そこだよ。そこがお前の大きなミステイクだ。

彼女は、自分が考えうる中で一番フェアな方法を提示したんだよ。

彼女にとっては、自分がそういう条件を出されたら

頑張れるだろうなと思う内容なんだよ」

 

「う~ん、だけどそれは自分の価値観の中だけであって

もっと色んな価値や意義を仕事に見出している人間も

いるということを理解してないんだと思います」

 

すると、ミスター・トラブルはウインクしてみせた。

 

「ほら、それだ。お前も彼女と同じ。

お金という報酬だけを価値と感じる人間も

いるっていうことを認めようとしてないじゃないか。

お前にもそういう想像力が欠けてるんだよ」

 

 

 

バカっていったほうが、バカ。

 

やっぱり、よくできた言葉だ。