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犬だって言いたいことがあるのだ。

ものごとをひとつ先に進めるヒントについて考えています

僕の趣味は、仕事です。

 

 

他のことを全て忘れてしまえるくらい

没頭できる趣味はあるか?

 

ということについて

昨日、仕事そっちのけで先輩と話をしていた。

 

その先輩は大抵、オフの時間でも

ずっと仕事のことを考えているそうだ。

 

映画を観たり、本を読んだりしていても

このアイデアって他に使えないかなあとか

頭のどこかでず~っと仕事用のメモリが動いている。

 

その辛さから逃れたくて

色んな趣味に手を出していくのだが

すぐに別のものに興味が移ってしまうらしい。

 

僕から見ても、彼の趣味探しに対する態度は若干奇妙だ。

 

サッカー観戦に行ってきた感想は

「あの応援は、戦争だな。日本人がこれだけ

戦いが好きだとは思わなかったよ。」

 

ちょっと離れた田舎町へ散策に出かけた翌日は

「まあ、ローカルの観光地も悪くないな。

あれはあれで、よくできた仕組みだな。」

 

ランニングを始めた初日にひざを痛め

「ただ走ることが流行するだなんて

ずいぶん日本も不況だということだね。」

 

結局、彼は「自分の経験していないことを引き出しに入れていく」

という作業をしているだけで、けっして

「他のことを全て忘れてしまえるくらい没頭できる」

という当初の目的は果たせていないのだ。

 

そして、趣味探しの途中で急に何かを思いつき

「あのね、例の案件だけど、こんな工夫をしてみたらどうかな」

的なメールが、休日に、子供とレゴブロックで

遊んでいる最中の僕のもとに届く。

 

そこで、メールを無視してしまえば

不幸の連鎖を断ち切れるのだが

厄介なことに、実は僕もずっと頭の片隅で

カタカタと仕事についての演算が続けられているタイプなのである。

 

子供が無心に謎の宇宙船を組み立てているのを見ながら

すでに頭の中は「例の案件」でいっぱいなのだ。

 

そんな不毛な話をしている途中で

僕はさっさと結論を出すことにした。

 

「僕はね、もうあきらめたんです。」

 

先輩は、不思議そうにこっちを見る。

 

「もうね、僕は自分の没頭できる趣味がわかったんです。

仕事です。僕はね、仕事が趣味なんですよ。

もう、開き直りました。

先輩も、もう認めちゃったらどうですか。

仕事が趣味だって。」

 

すると彼は、憐れむようなまなざしを僕に投げてから言った。

 

「ほう、そういうパターンもあるんだな。

まあそれはそれで興味深い研究対象だな。」

 

彼の趣味が見つかる日はまだまだ遠そうだ。